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とりあえず短答(2001/6/11)

 「今年はとりあえず短答に受かるのが目標」
 
 というメールをいただくことがたまにあります。その方々には、いつも私の考えを返しているのですが、毎回毎回もしんどいので、こちらにアップしておきます。
 公認会計士の試験は、司法試験の短答と違い一度合格したからといって、翌年に優遇措置があるわけではありません。また、今年短答合格したからといって、来年もまた短答に合格する保証は全くありません。そんな中、短答向けの勉強に長期間特化することが本当に短期合格に得策でしょうか?私はそうは思えません。短答向けの勉強はどうしても枝葉末節な部分を覚えることに費やしがちになりますから、論文の力はつきません。かえって、論文の実力が落ちることも十分に考えられます。それどころが、短答特化型の勉強の長期化は、短答合格力を逆に落とすことにもなりかねないのです。「今年はとりあえず短答合格」の考え方が、かえって短答合格からさえも遠ざけるのです。逆説的ですが、何回受けても短答合格できるような短答力をつけるには、論文向けの勉強が欠かせないのです。短答は、基本的な論文力という土台があって初めてその上に、枝葉末節の知識が必要なのです。先に枝葉末節の知識を仕入れたことろでちょっと応用的な問題や新しい傾向の問題がでたらお手上げなのです。
 あくまでも
 
 短答合格力=基本的な論文力+枝葉末節知識
 
 なのだと思います。
 これを忘れて、枝葉末節知識だけを膨らませた場合、短答は受かってもその後の論文に受かる可能性は低いでしょう。それどころか、短答合格さえも遠ざけかねない、というわけです。
 じゃあ、今年は枝葉末節知識をしこたま仕入れて、来年に向けて基本的な論文力を鍛えればいいじゃん、と考える方もいるかもしれません。しかし、考えてみてください。基本的な論文力もないままの枝葉末節の知識が1年後にも鮮明に頭に残っていると思いますか?その知識を覚える土台がないまま覚えたものなど、ものの数週間で抜けてしまいます。すると、とりあえず短答の人は、定着率の悪い枝葉末節知識を長期間かけて苦労して覚えたあげくに、次の年はなかなか身につかない論文力の養成とともに枝葉末節知識をずっとキープしつづけなければならないことになり、かえって負担は増えるわけです。もしくは、短答用の枝葉末節知識はもう大丈夫だからと慢心し、短答をなめていると、次の短答で辛酸をなめる結果となるのです。
 したがって、「とりあえず短答合格が目標」というのは、なんとも非効率なものであることがわかるでしょう。
 「受かるならいっぺんに両方」この勢いが短期合格には必要なのです。
 ちなみに
 
 論文合格力=基本的な論文力+応用的な論文力
 
 だと思いますので、短答後は枝葉末節の知識は忘れても大丈夫です。
 また、枝葉末節知識は、「基本的な論文力」があれば(いわゆる本質的理解があれば)、普段の論文勉強ついての短答勉強や短答前の数週間で一気に身に付けることができます。
 
 以上のように、「とりあえず短答」の考えは捨てるべきです。・・・と思います。
 
 ただし、「親の手前、今年は短答ぐらいは通っておかなくては」「働きながらの勉強で選択科目まで手が回らないからせめて短答ぐらいは」という方もいるでしょう。それはそれで仕方ありません。でも、どっちみち、その年の論文をあきらめて短答合格を目指すというのは、次の年の短答・論文の両方の合格可能性を低めているわけですから、そのへんをしっかり自覚していないと、あとでドツボにはまることになります。もし、私がそういう立場なら、親を説得して短答だけ受かっても意味がないことを理解してもらう、働きながら2年かけて合格をめざす、集中して勉強するために金を貯める、等の手段をとると思います。
 その是非はどうあれ、現在の会計士試験は7科目一括試験のうえにその前段階として短答があるのです。短答5科目だけ勉強するのも全くナンセンス。計算科目だけ勉強するというのも合理的な根拠はありません。もちろん、勉強の初期に計算科目だけ、または短答5科目だけ、というのは、効率的インプットのためには必要なこともあるでしょう。しかし、ある程度の時期を過ぎたら、7科目すべてをいっぺんに勉強しないといけないのです。むろん、科目間で、その軽重、時間配分の違いはあるでしょう。簿記と同じ時間を経営学に費やす人はいないでしょう。それは、程度問題なのです。しかし、どれかの科目を全く勉強しない、というか、「バランスを失った勉強」は、百害合って一利なし、だと思います。繰り返しますが勉強の初期は、簿記・原価計算は他の科目に比べれば、ある程度先行して勉強を進めなければいけないでしょう。しかし、すでに受験を経験している上級生、いや、入門を一通り受講し終えた受験生にとっては、常に7科目を意識して勉強する必要があると思います。
 強調したいのは
 
 「バランス」
 
 なのです。
 だから、常に自分の不得意科目に対して時間をたくさん使う必要があるし、そのためには自分の実力を常に把握するよう努力する必要があるのです。
 もどりますが、「とりあえず短答」の勉強は、「バランスを失った勉強」だと思います。得意な分野だけやりたくなる衝動はわかります。しかし、それをふんばって、不得意な科目をよいしょっ、とがんばることが必要なのです。
 またも繰り返しますが、

 「今年は論文合格はもうだめだ。とりあえず短答合格を目指そう」
 これは、来年の短答・論文合格の両方の可能性を下げます。
 
そうでなく
 「それでも論文合格を目指してやらなければならないことを合理的にたんたんとこなしていく熱い決意」
 が、大切なのだと思います。
 それで不合格なら、次の年に向けて、同じように勉強していくのです。その年の合格をあきらめるのは、不合格通知を受け取ってからでいいのです。次の年のことは不合格になってからで十分に間に合います。

 時間がもったいないからといって、早々にあきらめて不合格通知を受け取る前に来年のことを考え出すのは、かえって、合格可能性を低めていることに多くの人が気づいていません。がむしゃらに、最後の一瞬まで気を抜かず、しかも、たんたんと冷静に勉強を続ける。これが必要な態度だと思います。

「とりあえず短答」

堅実にみえて、実は都合のいい言い訳にしかなっていないこの言葉を、あなたはどう感じるでしょうか。


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