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キャッシュフロー計算書の基本書 (2001/6/14)

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 以下、キャッシュフローをCF又はC/Fと略します。
 さてさて、会計の分野では内容は古いが形式が新しいC/F計算書が制度化されました。
 受験生にとっては、勉強していてもなんか理論的裏づけがなくて、形式はわかっても、内容はよくわからない、という事態に陥ることがあるようです。そこで、理解の助けのための基本書を紹介したいと思います。

 まず、C/F計算書の理論の現状ですが、この「理論」に関する書物、参考文献は意外に少ないのです。議論はこれから深まろうとしているのです。本屋にいけばキャッシュフローに関する書物はたくさんでていますが、そのほとんどは、「具体的な作り方」又は「C/F計算書を利用した経営分析の仕方」ばかりで、純粋な理論本というのは、私の知る限りせいぜい下記の数冊ぐらいのものだと思います。
 その理由は次の2点にあると思います。

1 C/F計算書は「作成方法」が先に定められため「理論」がついていっていない
2 C/F計算書はP/Lよりも「硬い」情報なため、損益計算等と比べ論ずる点が少ない

1についていえば、確かに導入当時に議論もなされましたし、C/F計算書で先行していたアメリカでもかなりの時間を費やして議論がなされたようです。しかし、キャッシュ計算という計算技術は比較的簡単なため、日本では学者の中でも損益計算に比べれば深い議論はされないまま「比較可能性」を錦の御旗に導入されました。
2の要因も大きいかと思います。私の数少ない実務経験では、皆が思うほど固くはない、と感じることがありますが、やはり損益計算系の議論に比べれば論点は少ないと感じます。どちらかというと、C/F計算書本体だけの議論よりも、C/F計算書とP/L,B/Sとの係わりという点がこれまでの主要な論点だったようです。今後はもうちょっといろんな議論がでてくるでしょう。

というわけで、受験生的にみますと、C/F計算書は、押さえるべき点はそんなに多くなく、対策さえしておけばかなりいい線いく、おいしい分野であるといえます。しかし、出題可能性は必ずしも高くないため、どこまできっちりやっておくか、というのも悩ましい点です。また、その対策もある程度「作成技術」という実務指針っぽい部分に触れざるを得ないのも受験生には余計な負担となるかもしれません。
私のお勧めは、「必要最低限だけ押さえておき後は他の分野に時間をかける」というのが、一番効率的なような気がします。しかし、形式論ばかりでたいくつなC/Fについて、記憶の定着をはかるためにも理論的なことはある程度知っておきたいという人もいるでしょう。そこで、以下の基本書を紹介しておきます。
一応お断りしておきますが、下記の本はいずれも二次試験の領域を越えた部分が多々あります。通常の受験生は、ここまで手は伸ばさないでしょう。くれぐれも、全部理解しようとか、暗記しようとか思わないでください。勉強の合間のヒマつぶし程度に考えていた方が賢明です。

また、2001年受験生にとっては本試験まで時間がない中、以下の基本書をまともに読みこなそうとしたら、時間がいくらあっても足りなくなるはず。くれぐれも、部分読み、ヒマつぶし、気分転換程度に利用してください。



C/F計算書の基本書

「キャッシュフロー会計 −その理論と適用―」鎌田信夫(税務経理協会 平成11年7月発行)3,800円
 お勧め度 8
 キャッシュ関係の専門家です。さすがに自分の言葉で書いてあるだけにわかりやすい(他の書物は外国論文の訳が多い)。この方の価値観がきっちりと示されているのもグッド。P4の図を立ち読みでみるだけでも価値はある。もし、予備校テキストに似たような図が載っていたら、まずパクリと思って間違いないでしょう。
 私自身も企業の「営業活動」って一体どういう形で線を引けばいいのか、と悩んでいたのですが、そういった点にも言及されています(結論は出ていないが・・・)。
 直説法、間接法の論点も十分に議論されています。
 しかし、上でも述べていますが、実務的な話もあるので、わからない部分は適当に飛ばして呼んでもいいでしょう。(きっと実務に出てから読み返せば、とっても参考になると思うので、買っておいて損はないかも)


「キャッシュフロー会計論」上野清貴(創生社2001/3/13発行)3,400円
 お勧め度 5
 なんでも現・税理士試験委員だそうで。第1章はC/F計算書が支払能力を示すものだというアメリカ学者(キース)の論文を基に自分の見解を述べていく形式。なかなかわかりやすい。しかし、第1章以外は、かなり深くつっこんだ議論が交わされており(複式簿記をはなれて行列簿記の議論まで発展している)、たいへんおもしろいのだが、受験生がこのあたりの議論にはまってしまうと、他の科目への影響が心配される。さすがに試験には出ない分野と思われる(第1章以外)ので、お勧め度は低めに設定してあります。実務家になってC/F計算書の専門家になるのであれば、その時に購入してもいいでしょう。
 第1章だけ図書館で読んだらどうですか。


「新版 キャッシュフロー計算書の理論と作成実務」友田和彦(税経詳報社 平成10年11月出版)3,200円
 お勧め度 6(受験生)   10(合格後)
 C/F計算書導入のための会計制度委員会キャッシュフロー計算書専門委員会委員長です。日本のC/F計算書導入時のキャッシュの親玉です。さすがに親玉だけあって、わかりやすい。出版当時、会計士の多くがこの本を買ったそうです。しかし、超実務家のため理論面は上記、鎌田本には格段に劣る。しかし、制度の端的な解説はさすがである。私も実務でたいへんお世話になりました。制度だけ軽く押さえておくにはいいが、それは前半4分の1のみ。あとは、具体的な作成方法なので、受験生には不要と思われる。この本はキャッシュ基準の具体的な解説なので、それ以前の「C/F計算書とは?」とかいう疑問には答えてくれません。あくまでも基準にはこうかいてあるけど、その具体的な判断基準はこうだよ、と書いてある本です。
 合格したら絶対に買いましょう。なんせ、もう置いてある本屋が少ない。三省堂本店にもなかったし。


「キャッシュフロー会計情報の有用性」百合草裕康(中央経済社 平成13年3月出版)4,200円
 お勧め度 1
 えっと、キャッシュ会計の専門家になりたい方のみご購入ください。C/F計算書の有用性について、国際的にいろいろ調べておられますが、さすがに受験への役立ち度はゼロ。


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