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敵を知る  第2の敵・・・他の受験生

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金融庁のホームページには、合格者の年齢別、職業別データなどが掲載されている。
それによると、
受験者は1万5千人弱、合格者は1,262人で、合格率は、8.4%である。(平成15年度)
職業別にみてみよう。
無職の受験者が一番多く(10,169人)、合格率(10.1%)も一番高い。
その他はすべて平均合格率8.4%より低く、無職の次に合格率が高いのは、学生の6.1%である。
働きながら勉強をした受験生の合格率に至っては2.2%とかなり低いことがわかる(会計事務所職員、税理士、公務員等、銀行、会社員、教員の合計)。
おもしろいのは、会計、税務に通じているはずの、会計事務所職員(合格率3.8%)や税理士(合格率0%)の合格率が低いことである。これは知識だけ、特に実務の知識だけでは、試験というペーパーテストには太刀打ちできない、という事実と、その実務以外の知識習得の時間の確保が働きながらでは相当難しいことを示している。会計事務所勤務や税理士であっても、公認会計士試験の中で精通しているのは会計(簿記、財務諸表論)だけであって、その他の監査論、商法、原価計算、民法、経営、経済についての知識はほとんどゼロの場合も多い。いくら簿記や財務諸表論だけが突出して優秀であっても公認会計士試験では総合力が試されるため合格率が低いのだといえよう(この傾向は新制度ではいくらか変わってくると考えられるが、それは後に譲る)。

これまでは過去の受験生のデータである。
次に今、勉強をしている受験生の実力を知るにはどうしたらいいだろうか。
これを正確なデータで把握しようと思うと大変難しいのであるが、以下のような受験予備校が出すデータから定性的な感触はつかむことができる。

1 答練点数データ(答練とは答案練習会、つまり模擬テストのことである)
2 答練の講評、解説
3 返却された他人の答案

順番にみていこう。

1 答練点数データ
受験予備校で答練を受ければ、その点数や順位があきらかになる。そこで受験生の中での相対的な順位を知ることができる。
答練とは答案練習会であり当然であるがゴールとして設定している本試験とは異なるものである。本試験は毎年異なる出題者(学者や実務家)が、ゼロの状態から作り上げるものである。一方で受験予備校は数人で分担するにせよ、その作問の傾向は毎年同じである。過去の先輩方が作成した問題をちょっと変えただけのものも多い。基礎的学力をつけるためにはどうしても過年度と似たようなものを作成しなければならないため受験予備校を責めるわけにもいかないが、本試験と答練は違うものである、という認識はもっていなくてはならない。特に計算科目(簿記、原価計算、経済の一部)にはその傾向が強い。
当然、去年と問題は似ているわけだから、過年度の受験生、いわゆるベテラン受験生は答練で高い点数をとる。
またその採点方法も本試験とは異なる。計算科目は数字で解答するため、本試験と大きく採点方法が異なるとは考えにくい。一方で、理論科目はその道の専門家が基本的にはひとりで採点するのに比べ、受験予備校では多数の答案を処理しなければならないことから複数の講師が担当する場合が多い。すると採点基準を明確化する必要があり、どうしてもキーワードさえかけていれば何点などのように形式的な採点となってしまう。そこで、論旨が通ってなくても点がついたり、逆によく読めばきちんと書かれていてもキーワードが書けていない場合は点が低かったりする。(勘違いのないように断っておくが、本試験においてもキーワードが大切な場合もある。それはケースバイケースである。)
まとめると次のようになる。

計算科目 理論科目
作問 本試験と異なる 計算科目よりは本試験との乖離は少ない
採点 数字での解答のため大きくはぶれない 本試験と大きく異なる可能性がある


以上の点を補正することができるのは、先に述べた過去問参照であり過去問答練である。過去問により本試験の本質をとらえていれば、受験予備校の答練を修正して自分なりに考えることができる。そのためにも過去問の検討は必須なのである。

さらに、答練の時点の問題がある。当然であるが、答練は本試験の前に行われる。答練時点で実力がなくても本試験までに実力をつければ合格することも可能だ。しかし当然、敵である他の受験生も本試験までの間に実力をつければ、自分の合格可能性は下がる。残念ながら、定量的にそれを図る手段は存在しない。したがって、答練の点数や順位は相対的な尺度を図るにははなはだ不十分なものであるから、まあその程度と思って数字を眺めたらよいだろう。第一番目に答練順位の話をしたが、実は役に立たない、という話だ。答練はあくまでも自分ができていなかった項目の確認のためには有用であるが、その点数や順位は相対的実力を計るには適していないのだ。私がみてきた受験生はこの答練の成績を気にしすぎる人が多いようだ。全く知らん顔も困るが、過度に答練を意識しすぎると本試験とは傾向の異なる勉強を続けることになるので要注意だ。
また現状の公認会計士試験は、7科目一括である。ある科目の答練の成績がよい受験生が他の科目についても成績がよいとは限らない(全部の成績がいいのはほんの一部の受験生だけである)。その点でも注意も必要である(新試験制度では、また違ってくるだろう・・・

2 答練の講評、解説
これは答練を採点した結果、どの部分の出来がよかったか、悪かったか、を講師が評するものである。受験予備校によっては、後に紙でぺらっと渡されるだけであったり、後の機会に講義をすることもあろう。これは敵である他の受験生の実力をよく知るチャンスである。もちろん、答練点数データのところで述べたように本試験とは異なる問題、採点方法なのであるから注意は必要である。しかし、点数、順位という総括的、統計的なデータでなく具体的なものであるため、その有用性は高い。答練を復習するときは必ず講評を携えるべきであり、講評を聞くときは該当の答練を持参すべきである。
注意が必要なのは、採点後の講評、解説であることが大切だ。採点前の解説は、あくまでも講師が大事だと考えるポイントであって、他の受験生の実力を知るには約に立たない。また多くの採点前解説は、ポイントをはずしていることが多いことも要注意である。
ここで、他の多くの受験生ができなかった部分を知り、多くの受験生ができた部分を知ることができる。多くの受験生ができなかった部分について自分もできていなければ、その部分ができていれば頭ひとつリードできるポイントであり、多くの受験生ができた部分について自分もできていなければ、そこをクリアーしておかないと、頭ひとつ遅れることになる部分である。当たり前の話であるが、このことを意識するかしないかで大きく違う。同じ講評を聞くのでも、「ああ、そう」と聞き流すのと「敵を知り・・・」と考えてしっかり頭に刻み込むのでは、大きく異なってくるだろう。

3 返却された他人の答案
これはあまり大きな声では言いにくいので、多くの行数は割かないが、実に有益なことである。
受験予備校での答練の答案返却は、受験予備校の受付近くのボックスでなされることが多い。このボックスの中から自分の答案を探し出すわけだが、このとき他の人の答案を見ることができる。まあ、他の人の答案をじっと手に取り読み込むのはマナー違反であると思うが、ちらちら読んでみると、敵(他の受験生)の実力のほどを知ることができる。これは講師による講評よりもさらに具体的な例であるのだから、有用であることは間違いない。ただし顰蹙を買わない程度にしよう。
もっともこの方法は通学で答練を受講している人にだけ有効な方法であり、通信で受講している人はできない裏業である。
余談ではあるが、私の三次試験の受験時のある受験予備校は答案返却のときには、窓口に自分の名前を告げて自分の答案を返却してもらう形式であった。当然のこの方法は使えず、困ったものであった。


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