簿記一巡のイメージ(Spok's LogV)

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TOP > 簿記一巡のイメージ        (2004/7/13)


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「簿記一巡は大事」

受験生なら嫌というほど聞くこの言葉。入門の最初の講義で習った「簿記一巡」という言葉は、まあだいたい意味や手順はわかるけど、「大事に」っていわれても・・・・。という人のためにこれまたなんとなく考察してみた。

簿記一巡は沼田先生の簿記教科書五訂新版(p77)の中で以下のように説明されている。

取引→仕訳帳に仕訳記入→(転記)→元帳へ記入→仕訳帳を締め切る→(決算)→試算表の作成→棚卸表作成と整理記入→(帳簿決算手続)→損益に属する勘定の貸借差額を損益勘定へ振替える→損益勘定の貸借差額(貸方差額のときには純利益)を資本金勘定へ振替える→資産・負債・資本勘定の残高を残高勘定へ振替える→こどごとくの勘定は貸借平均するから締切手続を施し、仕訳帳も決算仕訳を合計して締切り、帳簿を新しい記入状態にする→損益勘定を資料として損益計算書を、残高勘定を資料として貸借対照表を作成する→開始記入を行う

これをもう少し単純化し、仕訳帳と総勘定元帳だけの面で整理すると、

期中取引仕訳、元帳記入→決算整理→損益振替→帳簿締切→開始記入

という感じだろうか。ここで決算整理事項を詳しく入れてみる。

期中取引仕訳、元帳記入→決算整理(期中取引仕訳修正、経過勘定項目の設定、減価償却、商品の評価、売上原価の算定、その他資産の評価替、引当金の設定)→損益振替→帳簿締切→開始記入

この一巡の順番は非常に大切である。簿記は自己の累積的数字を再利用することがある。前の段階で間違っていると、その後ずっと、間違ってしまうことがある。したがって、右の方の項目を処理するときは、左の方で処理漏れがないか、必ず確認しなければならない。

さて、上記の簿記一巡に補助簿とのつながりをいれてみると次のようなイメージ図になる。

簿記一巡と帳簿組織のイメージ図(基本形)
(画像をクリックすると拡大します)

では、給与手当勘定を例にすると、この勘定は帳簿組織の中で、どのように動いていくだろう?それは次のようなイメージである。
簿記一巡の中での給与勘定の軌跡

この場合は割りと簡単な例である。

では、前回の簿記の構造理解で例示した売掛金の場合はどうだろうか。
簿記一巡の中での売上、売掛金勘定の軌跡


なんとなくわかっていただけただろうか。

一つ一つの仕訳を切る際に、簿記一巡を思い浮かべ、その仕訳が簿記一巡の中でどのような位置にあり、今後、簿記一巡の中でどのような処理、追加加工がされていくのか、そして、それが、最終的な決算書のどこに収納されるのか、それが、瞬時に浮かぶことこそ、簿記一巡を理解している、といえると思う。

この簿記一巡がきちっとわかれば、本試験の現場で

どの論点を捨てるべきか、わかってくる

どの論点を先に解くべきか、わかってくる

のである。
売掛金の論点が超難しい論点だった場合、かなり高い確立で、貸倒引当金の数字を算定することはできない。それは、上のイメージ図(売上、売掛金)の赤い軌跡をみれば明らかだろう。だから、そういう問題がでたら、貸倒引当金の論点など手をつけないのが正しい(ただし、ぜんぜんわからなくてもいいかげんでも解答欄は埋めること。数字が間違っていても点数をくれるときがあるから)。
だから、期中取引修正の条件が問題文にあったら、必ず、それを先に処理しなければならない。いわゆる未処理事項などもそうだ・・・・・・・。
まあこれは単純な図であるから、これですべての論点を網羅しているわけでは全くないのだが簿記の勉強をしているときに、常に、簿記一巡のイメージを思い描いていれば、簿記一巡、そして簿記の構造の理解が進むと、私は信じている。

これは、車の運転で簿記が得意になる!?のイメージと重なる部分である。
おまけにこんなイメージ図も作ってみた。

車の運転席から左前のタイヤが石を踏んだのがわかるように、ひとつの仕訳が簿記一巡を通して遠くの作業に影響していくようなイメージで作ってみた。
まるで簿記一巡を自分が支配しているようなイメージがわけば完璧である。そうちょっと手を伸ばせば、簿記一巡のどの処理でも、すっと届くような・・・・。

スポーツをやっていた方ならわかると思うが、同じ運動をするのでも、「この筋肉を鍛えている」とか「シュートのイメージをしながら練習をする」など「意識しながら練習をするのと、意識しないで漫然と練習するのでは雲泥の差がある」ことを実感していることだろう。人間は単純な機械ではない。ただ意識するだけで、その能力開発に大きな影響がでてくるものなのだ。

会計士の勉強、簿記の勉強もまた同じ。常に、「全体の中で何をしているのか。どこを鍛えているのか」をイメージしながら、演習を行えば、その密度は、濃くなること間違いなし、である。勉強の密度が濃くなるということは、同じ習得度に短い時間で達し、さらに余った時間でより上をいく勉強ができるということである(余った時間で遊んではいけない)。
ぜひ、「常にイメージ」を心がけてほしい。

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