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TOP > 公認会計士という資格は女性向きか?           (2006/2/11)(2/12加筆)

「公認会計士は女性に向いている資格なんでしょうか?」
「監査法人は新卒でない女性会計士(補)を採用するのでしょうか}

と、よく受ける質問があります。

ので、管理人なりの見解をココに書いておこうかと思います。

結論:

女性向きの資格です

ただし、合格後5年程度はがむしゃらに働くことが条件だと思います。

(もちろん、女性向きだからといって、男性に向いていないということではないですよ)

以下、その理由
(なお、私自身は男性ですし、周りにそんなに多くの女性会計士がいるわけでもありません。ので、以下のことが本当に妥当なものかどうかはわかりません。ただし、私の身の回りで、公認会計士の資格をもって優雅に働いている方も現実にいらっしゃいますので、そのあたりやら、業界の状況やらを勘案して書いております)


女性に向いているだろうという理由:

ただーし、上記のような状態になるには「試験を受かっただけ」ではダメなのです。

専門家として、一人前と認められるためには通常だとやはり5年程度は、がむしゃらに働いて、「実務を身につける」ことが必要です。もちろん、年数はその人の能力やパーソナリティによるでしょうが、やはり「合格してすぐ」というのは無理でしょうね。

だから・・・・。
「今、専業主婦で、病気の母の面倒をみなくてはいけないので、合格後、勤務状態を勘案してくれる監査法人ってあるのでしょうか?」
という質問を受けると返答に困ります。

もちろん、そのような監査法人も探せばあるかも知れませんので、私の少ない経験だけで断言することはできないのですが、一般的には難しいと思います。可能性があるとすれば、そのような余剰人員をかかえることのできる大手4法人しかないように思います。

もし、あなたが、もうすでに「実務も身につけた会計士」であるならば、
「専業主婦で、病気の母の面倒をみなくてはいけないので、勤務状態を勘案してくれる監査法人」
というのは、あなたがちゃんとした(普通の)実力さえあれば、多少探すのに苦労するかもしれませんが、きっとあると思います。

でも、「合格しただけの新人会計士(補)」であるならば、かなり難しいことは覚悟しておいた方がいいでしょう。

まずは監査法人側に立って考えてください。

一人前の仕事をしてくれるのであれば、パートでも何ら問題ないのはわかりますよね。むしろ人件費の流動化でいい面もあるでしょう。

しかし、半人前のパートさんをなぜ積極的に採用する必要があるのでしょうか。仕事が終わればはいさよならする人に、給料与えて、ノウハウを教えてあげよう!なんて親切な人がいるのでしょうか。
半人前が採用されるのは、将来の法人組織に貢献してくれる人であることが確約されているからこそ、ですよね。
(もちろん、最近は人手不足が顕著なので、そういう事態もないことはないのですが・・・将来はどうでしょうね)

次に仕事の中身、資格の中身について考えてみてください

会計士は「専門職」つまり「職人さん」です。
「修業時代のない職人さん」って考えられるでしょうか?
修行が必要なんですよ、職人である以上。
修行を経験していない大工さんが、家の建築現場で一人前の働きをするでしょうか?
それなりに大変な仕事なのに、修行が楽ってあり得ると思いますか?

というわけで、「合格後5年はがむしゃらに働ける女性にとっては、とてもいい資格」というのが私の結論です。

だから学生さんや若い方が目指すにはとてもいい資格だと思います。しかし、そうでない方にとっては、「受験の数年、働きだしたからのの5年、合わせて7〜8年」をがむしゃらにイケルかどうかが判断の分かれ目かな、と思います。

誤解のないように言うと、可能性が低いからといって、それがあなたにも妥当するとは限りませんし、「若くない人や、就業条件に制約がある人は、会計士を目指してはいけない」などというつもりは全くありません
ひょっとすると、合格後すぐに勤務状態を勘案してくれる監査法人が見つかって、なぜかすぐに一人前になって、お気楽に働いていける、ということもあるのかもしれません。でも私はその可能性は限りなく低いと思っている、というだけの話です。

繰り返しますが「限りなく低い可能性」だからといって、目指す価値がない、とは違いますからね。
ヤンキースの松井や、マリナーズのイチローを目指してみんな野球をやっていても、やはり彼らのようになるのは「限りなく低い可能性」ですからね。スターの陰には、その何万倍もの挫折者がいるのは当然なんです。でもみんなそうなりたいと思ってがんばっているのです。これは余談ですが・・・。

ま、これで「やっぱり会計士目指すの止めようかな」という程度であれば、やめた方がいい、と個人的には思います。

もちろん、監査なんかやるつもりなくて、「一般事業会社でのキャリアアップのため」であるならば、それなりの意味はあるとは思います。でも個人的には(ひととおりの)監査をやったことのない会計士なんて会計士としての存在意義はないと思っています。「自分に自信をつけるため」とか「会社への待遇改善要求のため」ならいいかもしれないですね。(もちろん「監査なんかやったことない」という会計士さんが別方面で活躍されていることも知っておりますし、そういう方は尊敬しております)。

くどいようですが、きっと私と正反対の意見を述べる人もいるかと思いますので、あくまでも参考程度ということで堪忍してください。
ただ、最近、いろんな資格サイトやらマスコミやらで「女性に向いている資格!」とか紹介されているのと結構質問がくるので、あまりノー天気に薦めるのもどうかな、と思ってこのページを作りました。そんな彼ら(マスコミやら業者やら)は、商売ですからね。「資格を取れば、かっこよく稼げるて、
楽できてイイカモ!」なんていうノー天気な人たちを集めて、金を奪い取るのが商売なわけです。

何度もいいます。

「実務をしっかり身につけた会計士」になれるのであれば、女性にとって、とてもいい資格だ。

問題は実務をしっかりと身につけられるかどうかです。
能力は心配しなくていいと思います。試験に通るのであれば、基本的な能力はあるでしょう。
大切なのは、体力・気力・人当たりと時間、かなと感じるこのごろです。

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