科学者たちは実験のことを時に「美しい」と形容する。ぼく自身も科学者の端くれだが、確かにそうだ。美しい実験、美しい結果といった言葉づかいに違和感はない。著者は、哲学者・科学史家という自分の立ち位置から、科学者たちとの対話を通して、その「美しさ」の意味をくみ取り、10の「美しい科学実験」を通して、「実験にとって美しさの意味とは何か」「実験に美しさがあるのなら、それは美にとって何の意味があるのか」という………らあふれてくる。科学が、芸術同様に人間の感性に訴えかける営みであることを著すことに、著者は成功している。10の実験について語った各章を結ぶ間章もとても興味深い。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
中学〜高校の科学(物理)知識があれば、本書で取り上げられている科学実験のほとんどを
理解できます。
ガリレオ、ニュートン、フーコーなど単に教科書では現象の科学的説明と法則の導出に
とどまっていたものが本書により、時代背景から主人公の生い立ち、その実験を
しなければならなかった必然などがストーリーとしても面白く読めます。
特に実験系に携わっている人なら、美しい実験と言われてイメージするものが
あるか………小学生からでも読んで理解が可能であり、また理系の大学生であれば
科学実験の美しさの一端に触れるためにも、全般を通読していただきたいと思います。
お勧めの書です。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
書名に惹かれて手にとって見た。著者のクリースは初めてだが、訳者の青木氏はサイモン・シンの『暗号解読』を読んだことがある。原著の内容を十分咀嚼した上で訳出されているので、ちゃんとわかる日本語になっているのがよい。
さて本書は、科学雑誌で募集した「美しい実験」で上位にランキングされたものを、その実験方法や実験者の人となり、当時の社会背景などを織り交ぜながら、科学の実験の「美しさ」を考察するものである………なものか、というような議論があるように、いまでもなおせめぎ合っている。科学の「美しさ」もその背後にはアリストテレス以来の論争があるようで、その深さに感じ入った。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
取り上げている科学実験は、ほとんどが日本では高校までに学んだものですが、教科書で法則を実証するためのものとして記述されている実験像とは異なる、生の科学者の肉声が聞こえてきます。正しいと仮定した法則の正しさを実証するためには、どう実験すればよいか、その苦労がしのばれます。美しくシンプルな法則の裏には、美しい実験があったことに改めて感動します。訳者あとがきで、青木薫さんが、原子の二重スリット実験の写真に涙が出たと書いていますが、実験環境の進歩でそれが可能になったこととあわせて、そう思わせるだけの説得力がある実験であるように感じました。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
書名もGood.内容もGood.
著者が雑誌でアンケートをとった結果を参考に10の科学実験を紹介する内容.
ほとんどが物理実験なので,
私のような初心者のために各実験の説明をもっと丁寧にして欲しかったですが,
各章末に設けられたコラムが非常に有意義で面白いです.
コラムは,科学的思考を紐解いてみる内容で,「うんうん」とすぐに納得できるほど
わかりやすいです.
数学,物理ができなくても読めます.読むべし.
このレビュアーはお薦め度を5としています。
昨今、日本における科学教育レベルの低下が言われて久しい。
工学部の人気低下も著しく、国立大学の工学部系でさえ、いまや比較的入りやすいと言われる程度になっている。
確かに、自分の教わった何十年か前の学校の化学や物理の授業もあまりおもしろいものでなかった。
ところが、この本に提示された「美しい」科学実験は、本当にわくわくさせるものばかりである。
いまや、常識と言われる科学の体系もこ………そのようなレベルを遙かに超えた職人技が多いことも記載されてはいるが)、今よりももっと多くの科学技術者たちが生まれてくるのではないかと思わせるような本である。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
ここに登場するあらゆる人物はわたくしたちとおなじ
少年時代をすごし、ちょっとへんかなーなんて思われている
そんなこどもだった天才異才をうまく育てていったこの興味
という実験はときに怪我をしたりそれを諦める人もでてくるわけだが
そんなことをいとわずにつづけていたそれが、すばらしい
科学実験へとむすびついていった。
科学を知らなくてもページをめくると、そこには
いままで知らなかった宝物のありかをおしえてくれるようで
痛快な一冊である。ぜひお薦めしたい。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
科学史上の10の“美しい”実験を取り上げて、解説した本だ。取り上げた実験は
エラトステネスの地球の外周の測定
ガリレオの落体の実験
ガリレオの斜面の実験
ニュートンのプリズムの実験
キャヴェンディッシュのGの測定
ヤングの光の干渉実験
フーコーの振り子の実験
ミリカンの油滴の実験
ラザフォードの原子核の発見
電子の干渉実験
だ。どの実験も、こう書いただけで、科学の心得が少しで………様実験でも「神は細部に宿る」のであって、その細部に踏み込めればもう一つ違う美しさが現れるのだ。まあ、実際に実験をやったことのない哲学者には無い物ねだりではある。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
この書評の本は・・・・・ 世界でもっとも美しい10の科学実験