「世界の富や権力は、なぜ現在あるような形で分配されてしまったのか。」という問題に対する回答の一つが本書。今日の富・権力の分配の状況は、人種間の優劣に起因するものではないという著者の哲学には共感を覚える。また、その答えを本書のように説明し得ることは、「そんなの、歴史の偶然に決まってる」と思っていた私には新鮮な驚きだった。上・下巻あわせて600頁強あるが、あっという間に読めた。著者がいくつかエピローグ………物。平仮名、カタカナというかな文字も使われているし、漢字よりアルファベットの方がかっこいいと思っている人の方が多いはず。この部分はやや本書の信頼性を損ねている。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
本書は18世紀以前の文明発展の分析としては、確かに良書であろう。結論は概ね高校の世界史で習うような内容だが、そこに至る過程は資料やデータが豊富で説得力がある。「南北問題」「遺伝子組替え」といった現代にも通じる問題を扱った点が、ベストセラーとなった所以だろうが、それらの問題に対する著者のメッセージや将来への示唆が明確に示されていればなお良かったと思う。あと、原書では参考文献リストが載っているのに対し………削除されている。その中には大変示唆に富んだものも含まれており、それが日本の読者に紹介されていないのは残念である。翻訳者は今後このようなミスのないように願いたい。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
ベストセラーとなり、ピュリッツアー賞を受賞したのも頷ける名著。
本書は、最終氷河期が終わった約13,000年前から紀元1,500年頃までの人類文明発展の歴史を、社会科学と自然科学を合わせて考察している。
何故ユーラシア大陸の文明が他の大陸を支配するに至ったのか?
旧大陸が新大陸を征服出来た表面的な理由は「銃・病原菌・鉄」であるが、
何故、ユーラシア大陸でそれらが生み出されたのか?
何故、………それらが生み出されなかったのか?
そもそも人類はどのように発展し、国家を形成するに至ったのか?
これらの疑問を、壮大なスケールで考察している文句無しの名著。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
ニューギニア人からの「どうしてあなたたち白人は、世界の富と権力の大部分を握ることが出来たのか?」という素朴な問いかけで本書ははじまる。人類すべてが狩猟採集で暮らしていた13000年前の最終氷期の終わりを起点にして、人間社会の生業、技術、疫病、政治構造等がどのように変遷して白人が主導権を握るに至ったのかが謎解きの面白さに満ちた平易な文章で綴られていく。タイトルは、白人が他の大陸を植民地化できた直接的………さに自然科学者らしいユニークな発想だ。本書は、個体より集団の行動に注目する動物生態学の視点が随所に感じられるなど、歴史を自然科学として読みたい人にお勧めします。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
著者は「世界のさまざまな民族がそれぞれに異なる歴史の経路をたどったのはなぜか?」という問いとその答えの追求は、西欧中心主義からでも文明礼賛からでも支配の正当化のためでもなく、あくまでも人類の歴史の理解のためだという。
確かに著者にとってはそうなのだろう。本書の中で紹介されるニューギニアの現地人や、農村で働くインディアンに対する著者の視線は自意識の歪んだ差別主義者のものではなく、人間に対する深い………答え「自然環境」と「時間の経過」という2つの原因は、人種差別よりも、はるかに厳しい運命として現代社会で被支配的な地位にある人たちの前に立ちはだかっている。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
著者はアメリカ大陸とユーラシア大陸で文明の格差が発生した根本的な原因は大陸の長軸の方向の違いだと言う。文明の発達過程において、植物栽培や家畜飼育が人口を増加させ余剰生産物を生み、そこに技術や文化が発生し、情報を伝達するための文字も発達していく。そんな状況の中で、緯度が異なれば植物栽培や家畜飼育の方法も全く異なってくる事がアメリカ大陸での技術の発展を妨げた。著者はアメリカ大陸では同一の種が栽培・飼育………論展開はさすがである。ただし、全体がやや冗長であるのが唯一の問題点かもしれない。原著は1冊であるが、日本語翻訳版でも1冊にまとめるぐらいの長さにしてほしかった。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
世界の富が今のように偏って存在するようになったのはなぜか?
支配する人と支配される人にわかれてしまった原因はなんなのか?
そのような壮大な問いに答えを提供しようとしている、すごい本だ。
かといって小難しい話ばかりが続くのではなく、豊富な実例や統計を元にした、一般の読者にもわかりやすくてなるほどと思わせるような語り口なんである。
タイトルの3つは、スペイン人がインカ帝国を征服できた直接の原因を凝………とを抜きにしても、とにかくこの本を読んでいると楽しい。
「おれはすごいことを知ってしまった・・・!」
みたいな錯覚(?)が味わえます(笑)
おすすめです。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
インカ皇帝は何故ピサロ率いるたった168人のスペイン部隊に敗れてしまったのか。また、そもそも何故、アメリカ大陸を征服したのは旧大陸(ユーラシア大陸)のヨーロッパ人で、その逆ではなかったのか。オーストラリア原住民のアボリジニは何故石器時代から抜け出せなかったのか。アフリカは人類発祥の地であるにも関わらず何故暗黒大陸に陥ってしまったのか。
これらは歴史を勉強した人は誰でも感じたことがある疑問だろう………関係していると知って驚いた。
普段はこの手のアカデミックな本は滅多に読まないが、本書に関しては読後に知識欲が満たされた充実感があり、大ヒットな一冊であった。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
この書評の本は・・・・・ 銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎