「銃・病原菌・鉄」よりも「穀物・家畜・病原菌」の方が内容をよく表すと思う。付け加えれば「人口・技術」である。ユーラシア大陸の民族が支配的になる最初の一歩は、栽培に適した植物と家畜化しやすい動物がどれくらい存在したかによる、という指摘は示唆に富む。こういうスケールで物事を考えていたら、世界で起こることが今よりよく分かるかもしれない。もう少し短いと有り難い。欧米人の書き方は、この本に限らず往々にしてくどく感じられる。このことにも歴史的な背景があるのだろうか?
このレビュアーはお薦め度を4としています。
人類の誕生以来、人がたどった道筋を詳細に、そして文化人類学的に解説している作品。その切り口は、この本の題名のとうり、銃、細菌、天然資源、さらに言語、飼育、食用植物の栽培、社会的集団の形成など多岐に及ぶ。なぜ定住民族が、ローマ帝国や中国の王朝などの強大な勢力を持つ国にまで発展できたのか、またそれに反して、なぜ狩猟民族が、部族の単位ほどにしか発展しえなかったのかなどについて論じている。内容は実質的で的を得ているが、もう少し簡潔に書いた方がより理解しやすいものになったと思う。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
「科学としての歴史」というと直ぐに「史的唯物論?」と反応される
方もおられるかもしれないがご心配なく。
著者は医学をはじめ生物から考古学、歴史まで幅広く修めた才人で、
文明発展格差の謎について、学際的に様々な知見を交えアプローチ
しており、飽きずによませる。
大きなスパンでの発展の制約や法則性を考察しようという観点なので
細かな勢力分析や個人の影響などは捨象されている。
勿論、人種の生物学的相違や………明してゆく。
タイトルの「銃・病原菌・鉄」はピサロによるインカ征服時の決定要
因だとして、本書の史観を象徴している。
表現は極めて平易で子供にもよみこなせよう。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
従来の世界史や文明史では誰も説明しなかった(できなかった)素朴な謎を、地理的な要因や科学技術史的な観点から次々と説明をつけていくのがとても新鮮。 私たちの物の見方に新たな視点を加えてくれる、文系/理系を問わず必読の一冊。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
変わった題名の本であるが、本書を読み進めるとすぐにその意味がわかる。著者が、あるニューギニア人から受けた、「現代の世界の不均衡はなぜ起こったのか」という疑問への答えがこの表題である。
最もわかりやすいのは、スペイン人とインカ帝国の激突の場面である。馬と鉄製の武器は圧倒的な力の差となったが、それ以上に大きかったのがヨーロッパからもたらされた病原菌である。天然痘によって、人口の95%も減少したと………国の行く末を暗示している。
本書は、壮大な人類の今に至る進化の物語である。このような遠い過去を振り返ると、数千年単位の遠い未来へのヒントが見えてくる。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
このような多くの文明や国や人種が有りながら、なぜこのような差がついたのか?
誰もがぜひ知りたいところだ。
どの人種が血統的に優れている、このような考え方はもはやこの本によって打ち破られただろう。
発展の度合いは、主に地理的要因にあったのだ。自分はこの本を読んでから、国や人種の問題を考えるとき、
その国がどこに位置しているのか、どんな形をしているのか、そんなことを前提に考えるようになった。
勿論、地………ロの視点では
粗雑な記述も多いのだが、それを補って余りある全体を見通す視点が得られるものがある。
やっぱり、アメリカ人は細部は粗雑でも大胆な発想をする人が多い。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
人類はその起源以来、世界中に拡散しそれぞれの地域に適合した生活、文化を育んできた。その起源、スタートにおいては大きな差がない生活を送っていたにもかかわらず、その一部が首長社会を形成しはじめ、さらにその一部が国家を形成するといった具合に、それぞれの地域ごと、集団ごとの文化や社会的発展に大きな違いが出てきた。文化の面においても、石器を使い狩猟生活をいとなみ続けた人々と、技術を発達させ、農耕社会を築き、………ぞれの住民の生活習慣が異なり、それに伴って技術の発達・伝播の速度に差異がでることによってと説明される。久々にスケールの大きな、文化人類学の本を読んだ思いがする。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
科学者(進化生物学者)の見た人類史です。
シャーレの中のバクテリアの増殖に向ける視線で、人類の移動や進化について書いています。
アレキサンダー、エジソンなどという固有名詞つきの英雄、天才を軽視した歴史。
歴史は必然と偶然の積み重ねで進歩してきた事実に過ぎないことを美しく書いています。
子供の頃の私は、歴史の授業が苦手でした。
教科書はまったくアカデミックでない「英雄列伝」だし、
歴史好きと称す………母、であることなど、
衝撃的な事実を知れたことがとても楽しく、そしてまた、
これから先の未来もどうなるかわからないなぁ、という壮大なロマンも感じられ、素敵です。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
この書評の本は・・・・・ 銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎