人類はその起源以来、世界中に拡散しそれぞれの地域に適合した生活、文化を育んできた。その起源、スタートにおいては大きな差がない生活を送っていたにもかかわらず、その一部が首長社会を形成しはじめ、さらにその一部が国家を形成するといった具合に、それぞれの地域ごと、集団ごとの文化や社会的発展に大きな違いが出てきた。文化の面においても、石器を使い狩猟生活をいとなみ続けた人々と、技術を発達させ、農耕社会を築き、………ぞれの住民の生活習慣が異なり、それに伴って技術の発達・伝播の速度に差異がでることによってと説明される。久々にスケールの大きな、文化人類学の本を読んだ思いがする。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
本書は18世紀以前の文明発展の分析としては、確かに良書であろう。結論は概ね高校の世界史で習うような内容だが、そこに至る過程は資料やデータが豊富で説得力がある。「南北問題」「遺伝子組替え」といった現代にも通じる問題を扱った点が、ベストセラーとなった所以だろうが、それらの問題に対する著者のメッセージや将来への示唆が明確に示されていればなお良かったと思う。あと、原書では参考文献リストが載っているのに対し………削除されている。その中には大変示唆に富んだものも含まれており、それが日本の読者に紹介されていないのは残念である。翻訳者は今後このようなミスのないように願いたい。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
著者は「世界のさまざまな民族がそれぞれに異なる歴史の経路をたどったのはなぜか?」という問いとその答えの追求は、西欧中心主義からでも文明礼賛からでも支配の正当化のためでもなく、あくまでも人類の歴史の理解のためだという。
確かに著者にとってはそうなのだろう。本書の中で紹介されるニューギニアの現地人や、農村で働くインディアンに対する著者の視線は自意識の歪んだ差別主義者のものではなく、人間に対する深い………答え「自然環境」と「時間の経過」という2つの原因は、人種差別よりも、はるかに厳しい運命として現代社会で被支配的な地位にある人たちの前に立ちはだかっている。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
期待して読みましたが、問いかけは壮大、ロジックはワンパターン、結論は「さもありなん」。著者は歴史学を科学的に行うことについて期待を込めたエピローグを書くが、私には、本書こそがその悪い見本のように思えました。結局、この本は我々の知識に何を上積みしたのであろうか?残念。
このレビュアーはお薦め度を2としています。
鳥類の研究者であったダイヤモンドはまた真の知識人でもあった。
ユーラシア大陸では家畜となるような動物が多く、それの飼育によってユーラシア人はまた病原菌耐性も獲得した。さらにイネ科の植物はユーラシアに多かったために、東西に長いユーラシアでは急速に農耕が普及した。
これらの理由から文明はユーラシアで圧倒的に進歩し、ヨーロッパ人は南北アメリカやアフリカ大陸、オーストラリアを支配することになったのだと………とするなら、ダイヤモンドはあまりにも人間の平等にこだわっているようである。人間集団に差異があったとしても、彼の鋭い洞察のほとんどは全くその意義を失わないはずだ。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
今まで読んだノンフィクション本の中でも、最高の本だった。歴史の積み重ねとして生まれた現在を、今度は逆にさかのぼっていき、歴史の根源を探っている。この本以外にも、Third Chimpanzeeなど、非常に面白い本を書いているが、翻訳版はでているのだろうか。科学的な説明だけで終始しているわけでなく、歴史的な場面を読者の頭の中に描き出し、そこから生まれてくる疑問点に対し、一つ一つ丁寧に解答を与えていく。読んでいて楽しいのはもちろん、読み終わった後に、ひとつ賢くなった、と満足感を覚える本だった。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
1万3000年にわたる人類史について、紀元前1万1000年、最終氷河期が終わった時点では人類はみな狩猟採集生活を送っていたが、その後これが農業を基盤とした政治構造への移行、文字の普及などにおいて地域的な差(西ユーラシアと新大陸)が生じることとなったのはなぜか、という問題関心から叙述している。
西ユーラシアと新大陸の歴史的経路の差異は、大陸によって栽培化や家畜化可能の動植物が異なっていいたこと、………の広がりよりも動植物の栽培化、家畜化に有利である)が異なっていたこと、生態系が異なっていたことで引き起こされたことなどに触れられ、非常に興味深い内容である。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
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この書評の本は・・・・・ 銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎