近代資本主義の精神は天職として仕事にはげむことを教えたプロテスタント諸派によって培われたとする長編論文。その出発点は、聖書の翻訳で「天職(Beruf)」という言葉を採用したルター。しかしルター派は生活環境(職業)に対する宿命論的な色彩が強く、職業活動への積極性は薄かった。これを転換したのがカルバンの思想的末裔であるピューリタンたちだ。彼らにとって地上の生活は神を賛美する場だった。それは神に選ばれた………心情のない享楽人」である。ヴェーバーをこの宗教社会学的研究に赴かせたのは何だったのだろうか。それは最後の人間たち、つまり同時代への驚愕だったのではないだろうか。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
唐突な例をあげて恐縮ですが、現在映画・映像関係の仕事をしている私には、以前から不思議に思っていることがありました。 日本を始めとするアジア映画、そしてヨーロッパの中でもフランスやイタリア映画には豊かな叙情性、感覚的な(繊細でむしろ女性的−と言ってもいい)表現を盛り込んだ作品が少なくないのに比べて、イギリスや特にアメリカ映画では、情や感覚などよりも、ストーリー展開の速さやプロットの精巧さを追及した作………のでしょうか? いわゆるグローバル経済の中に否応なしに巻き込まれていくであろう、これからの我々の行く末を考えるにつけても、出発点として必読の本だと思います。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
会社で掲げられるVISIONであるとか 経営方針に 人間として共感できるものが もっと必要であるというのが最近の小生の意見であったが 一方 そんなことが可能かと疑問も思っていた。
そんな小生に対し 本書は 目から鱗という感じであった。個人的な禁欲をいう宗教が 営利追求の資本主義をもっとも育てたという ある意味でのアイロニーは 人間のもつ複雑さと 可能性を思わせた。
岩波文庫の白であると ちょっと引く人も多いかもしれないが これは面白い本です。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
キリスト教が非常に禁欲的で禁忌の多い宗教だったのが、いかに変容して資本主義との精神的両立をなしえたのか?西洋の経済的、政治的発展のバックグラウンドを抉ったともいえる名著。いわれているほど難解ではなく、非常に読みやすい本です。西洋社会を理解するうえで必読だと思います。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
いわずと知れた宗教社会学の名著である。資本主義の成立をウェーバーなりの理論により説明している。 「近代」資本主義の成立はプロテスタンティズムの禁欲的側面から成立したと彼はいう。 当時としても斬新な論文であったと思われる。 論文自体は少々難解ではあるが、とりあえず読み進めてください。最後に訳者の大塚氏の解説がたいへんわかりやすいので、内容が充分に理解できなくてもご心配なく。 時間のない方はとりあえず解説を先に読んで読み進めるのも効果的だと思われます。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
私がこの本を最初に読んだのは、およそ5、6年ほど前になります。うる覚えですが、確か社会科学論文の形式の原形となった本だそうで、論文の書き方を学ぶために読んだ覚えがあります。あまりの量の多さに、脚注をすべて飛ばして読みましたが、これでも内容を把握する上では十分でした。最近読み返したのは、今更ながら欧米の宗教的文化に深い関心を抱くようになったからでして、とりわけ宗教上の原理主義や聖戦といった、日本人に………えカトリシズムではなくプロテスタンティズムなのか、こうした問いに答えられるようになるだけでも欧米の文化を理解する上では、必ずや大きな一歩になるとだろう思います。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
読むべき本である。 しかし、その理由は「この本の主張、論証が正しい」からではない。 マックス・ヴェーバー以前に、ここまでまとまった、論理性のある資本主義の成立論を打ち出した学者がいなかったがゆえに、この本以降の学者にとって、ヴェーバーに反論することが論文を書く上での一つの要件になったからである。 そういう意味では、他のレビュアーの方々の意見はちょっと問題があるのではないか、という気もする。 マル………しては特に問題はないように思う。 個人的には資本主義の歴史を述べた本としては、高価で大部であるがフェルナン・ブローデルの「物質文明・経済・資本主義」を推したい。
このレビュアーはお薦め度を4としています。
論旨は商品の説明の要約にある通りなのだが、本書は日本人が理解しにくい(誤読しやすい)箇所がいくつかある。その大部分については訳者の大塚久雄氏の解説によりフォローされている。先入観無しに精読したい向きを除いては、まずは本書末の解説を先に読むと理解の助けになるだろう。特に「禁欲」「史的多元論」は正確に把握しておきたい。本訳と本解説についての大塚氏の功績は大きい。
しかし大塚氏の認識にも大きな誤りがあ………が。なにせ訳者でさえ誤認しているのだ)。このあたりの詳細は大塚氏の弟子である山之内靖『マックス・ヴェーバー入門』に端的にまとめられているので、併せて読まれたい。
このレビュアーはお薦め度を5としています。
この書評の本は・・・・・ プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)